社会保険労務士・ PHP研究所認定チームコーチ。厚生労働省や都道府県等のホワイト企業認定マーク取得、㈱ワーク・ライフバランス認定「働き方見直しコンサルティング」、クラウド勤怠管理システム導入など採用力・定着力向上のための働きやすい職場環境づくりを支援している。講演実績としてアサヒビール(株)、コクヨ(株)、(株)デンソーセールス、農林水産省など。石川県金沢市のコステム社会保険労務士事務所の代表を務める。 プロフィールはこちら https://www.costem-sr.jp/about/profile
社労士に年末調整を依頼できる?
年末調整を社労士に依頼するのは税理士法違反になることをご存知ですか?毎月の給与計算業務は、社会保険料や労働保険料の計算など保険関係に関わることも多く、社労士に依頼する会社も多いです。そのため、セットで年末調整業務も社労士事務所に依頼している会社も少なくありません。一方で、税理士事務所には社会保険や労働保険の手続き依頼ができないため、どちらに年末調整業務を依頼すべきか迷っている会社も少なくありません。本記事では、年末調整と給与計算を含めた業務の効果的な専門家への依頼方法を詳しく解説します。
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社労士が年末調整業務を受託すると税理士法違反
以前は年末調整業務の取り扱いが曖昧であったため、実際に社労士が年末調整業務に携わるケースも見られました。
しかし、2016年6月に明確化され、年末調整に関する事務は税理士法に基づく税理士の専任業務であり、社労士がこれを行うことは税理士法第52条に違反することが示されました。
参考:愛知県社会保険労務士会「税理士の付随業務」
社労士に依頼できるのは、毎月の給与計算業務
それでは、年末調整とセットで、給与計算業務も税理士に依頼する方がよいかというと、一概にそうとは言えません。
確かに、税理士に依頼すれば、給与計算から年末調整を一括で行えるため、業務の一元化が図れるというメリットがあります。
しかし、給与計算は勤怠管理や労務管理と密接に関連しており、社会保険や労働保険の手続きと給与計算をまとめて対応してもらえることにより、複雑な手続きを効率的に進められ、業務の負担が軽減されます。
また、従業員の入退社情報を一元管理してもらうことで、ミスや手続き漏れを防ぎ、スムーズな労務管理が実現します。
これらの業務は日常的に発生するため、給与計算と関連する手続きを一体化させることは企業にとって大きな利点となります。
参考記事:給与計算の外注は社労士がおすすめ?税理士との違いも解説
社労士と税理士を使い分けて給与と年末調整を効率的に処理する方法
社労士と税理士を効果的に使い分けることで、給与計算と年末調整を効率的に処理する方法があります。
具体的には、毎月の給与計算業務を社労士に依頼し、その計算結果を毎月税理士に直接送付するようにします。
税理士はこのデータを基に年末調整を行い、調整結果や扶養控除申告書の写しを社労士に直接連絡してもらいます。
このように社労士と税理士が直接情報をやり取りする体制を整えることで、企業の負担を減らしつつ、法的に問題なく外部委託が可能になり、労務管理と税務処理の両面での効率化が期待できます。