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2025年4月法改正!会社の育児休業関連の制度はどう変わる?

就業規則法改正・変更社会保険手続給与計算
松林 大樹コステム社会保険労務士事務所 代表

社会保険労務士・ PHP研究所認定チームコーチ。厚生労働省や都道府県等のホワイト企業認定マーク取得、㈱ワーク・ライフバランス認定「働き方見直しコンサルティング」、クラウド勤怠管理システム導入など採用力・定着力向上のための働きやすい職場環境づくりを支援している。講演実績としてアサヒビール(株)、コクヨ(株)、(株)デンソーセールス、農林水産省など。石川県金沢市のコステム社会保険労務士事務所の代表を務める。 プロフィールはこちら https://www.costem-sr.jp/about/profile

2025年の法改正で、会社の育児休業関連制度はどう変わるのか?中小企業の経営者や総務担当者が知っておくべきポイントを解説します。
育児休業制度や給付金の改正概要から、改正が企業に与える具体的な影響、そして企業が取るべき対応策までを詳しく紹介します。

2025年改正の背景・目的

  • 少子高齢化が進む日本では、少子化対策として男性の育児参加が重要視されている。
  • 男性の育児休業の取得率を向上させる。
  • 復職後の働き方をより多様化し、育児と仕事を両立しやすい環境を整備する。
  • お金の心配なく安心して子を産んでもらえる制度にする。

育児休業関連の2025年4月改正の概要

主な改正の全体像

改正内容産休・
育休
復帰後
働き方
給付金保険料
免除
事務
子の看護休暇の見直し
所定外労働時間の免除の対象の子の範囲の拡大
育児休業取得状況の公表義務の
対象企業拡大
育児短時間勤務の代替措置の追加
在宅勤務等の措置の努力義務
出生後休業支援給付金の創設
育児時短就業給付金の創設
育児休業延長の際の
給付金手続の厳格化
参考:厚生労働省「育児介護休業法について」

子の看護休暇の見直し(施行日:2025年4月1日)

子の看護休暇に関する以下の変更が行われます。

項目現行制度改正後
名称子の看護休暇子の看護等休暇
対象となる子の範囲小学校就学の始期に達するまでの子小学校3年生修了までの子
取得可能な理由子の病気や怪我、予防接種・健康診断感染症に伴う学級閉鎖や入園式、入学式、卒園式等子の行事参加も対象
勤続期間に関する制限労使協定で勤続6カ月未満は除外可能勤続期間に関わらず取得可能

所定外労働時間の免除の対象となる子の範囲の拡大(施行日:2025年4月1日)

所定外労働時間の免除とは、労働者が所定の労働時間を超えて働く、いわゆる残業を免除されることを指します。

項目現行制度改正後
所定外労働時間の免除対象3歳に満たない子を養育する労働者が対象小学校就学前の子を養育する労働者が対象に拡大

育児休業取得状況の公表の義務付けの対象企業の拡大(施行日:2025年4月1日)

男性従業員の育児休業取得状況の公表義務の対象企業が、常時雇用する労働者が1,000人を超える企業に限定されていましたが、改正後は300人を超える企業にも適用されるようになります。

項目現行制度改正後
公表義務対象企業常時雇用する労働者が1,000人超の企業常時雇用する労働者が300人超の企業

参考:厚生労働省「2025年4月から、男性労働者の育児休業取得率等の公表が 従業員が300人超1,000人以下の企業にも義務化されます」

育児短時間勤務の代替措置の追加(施行日:2025年4月1日)

育児短時間勤務の代替措置に関する新たな選択肢が追加されます。
現行制度では、3歳未満の子を養育する労働者が短時間勤務制度を利用できる一方、短時間勤務が困難な業務に従事する場合、国が定める代替措置を設け、労使協定を定めることで、短時間勤務の適用から除外することが認められています。その代替措置に、在宅勤務等(テレワーク)が追加されます。

項目現行制度改正後
代替措置・フレックスタイム制度
・始業または終業を繰り上げ
 または繰り下げる制度(時
 差出勤)
・3歳に満たない子に係る保
 育施設の設備運営その他こ
 れに準ずる便宜の供与
現行制度に
在宅勤務等(テレワーク)を追加

在宅勤務等(テレワーク)の措置の努力義務化(施行日:2025年4月1日)

3歳未満の子を養育する労働者が在宅勤務等(テレワーク)を選択できるようにする措置が、事業主に努力義務化されます。

項目現行制度改正後
在宅勤務等(テレワーク)の措置努力義務化
対象労働者3歳未満の子を養育する労働者

出生後休業支援給付金の創設(施行日:2025年4月1日)

出生後休業支援給付金が新たに創設されます。
この制度は、夫婦そろって育児休業を取得した場合に、通常の育児休業給付に加えて一定額が上乗せされるものです。

出生後休業支援給付金の概要
出生後休業支援給付金とは、子の出生直後の一定期間以内に被保険者とその配偶者がそれぞれ14日以上の育児休業を取得した場合に最大28日間支給される制度です。
具体的には、休業開始時の賃金の13%相当額が上乗せされます。

項目現行制度改正後
給付金出生後休業支援給付金の創設
支給対象被保険者と配偶者が14日以上の育児休業をした場合、最大28日間
支給額通常の育児休業給付に加え賃金の13%上乗せ

出典:厚生労働省

育児時短就業給付金の創設(施行日:2025年4月1日)

新たに育児時短就業給付金が創設されます。
この制度は、育児のために短時間勤務を行い、その結果として収入が減少した場合に、減少分を補うための給付金を支給するものです。

育児時短就業給付金の概要
この給付金は、2歳未満の子を養育するために時短勤務を行った労働者を対象としています。
具体的には、時短勤務前の賃金の約10%が支給され、育児と就業の両立を支援することを目的としています。

項目現行制度改正後
給付金育児時短就業給付金の創設
支給対象一定の条件を満たした2歳未満の子を養育するための短時間勤務者
支給額・短時間勤務前の賃金の約
 10%を給付
・給付額と時短勤務中の賃金
 の合計が、時短勤務前の賃
 金を超えない範囲で支給

育児休業延長の際の給付金の手続きの厳格化(施行日:2025年4月1日)

保育所等に入れなかったことを理由に育児休業を延長する場合に適用される育児休業給付金の支給対象期間を延長する際の手続きが厳格化されます。

項目現行制度改正後
手続き要件市区町村が発行する入所保留通知書などの提出のみで確認従来の通知書に加え、職場復帰の意思確認および合理的理由の確認が必要に
必要書類市区町村が発行する入所保留通知書または入所不承諾通知書現行制度の必要書類に加え
 ・育児休業給付金支給対象
  期間延長事由認定申告書
 ・市区町村に保育所等の利
  用申し込みを行った際の
  申込書の写し

子が病気や障害により特別な配慮が必要であるため、保育体制が整備されていない等の理由で入所申し込みを市区町村が受け付けない場合は、
 ・障害者手帳の写し、特別
  児童扶養手当証書の写し
  医師の診断書等のいずれ
  か

育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書の書式

参考:厚生労働省「育児休業給付金の支給対象期間延長手続き

改正に伴う中小企業への影響

男性の育児休業の増加

出生後休業支援給付金の支給が新設されることで、1か月以上の育児休業を取得する男性が増える可能性が高まります。
女性従業員の場合、身体の変化で会社が気づいたり、産休や育休の申し出があるため、事前に休業期間の準備をする期間がありますが、男性従業員の場合は、急な育休の申し出も予想されます。
そのため、企業では、業務の属人化を解消し、標準化を進め、いつ誰が1カ月以上の休業に入っても業務が回る体制をつくることが重要です。

育休復帰後の短時間勤務者の増加

育児時短就業給付金が新設されることで、育児休業から復帰する従業員がフルタイムではなく短時間勤務を選択するケースが増えると予想されます。
短時間勤務を希望する従業員が増加することで、企業はフルタイムの従業員が担っていた業務の再配分や、短時間勤務者がスムーズに業務を遂行できる環境の整備などが求められます。

延長手続きの対応が煩雑

先に書いた育児休業給付金の延長手続きがこれまで以上に厳格化されることで、手続きに必要な確認の要件が増え、取得しなければならない書類も増加します。

新設された給付金の請求対応が煩雑

従来の産休や育休に関する給付金は種類が多く、対象期間も長いため、その申請と管理には多大な労力が必要でした。
新たに「出生後休業支援給付金」と「育児時短就業給付金」の2つの給付金が追加されることで、書類の請求や申請業務が増え、担当者の負担が一層増加することになります。

人手不足

男性従業員の育児休業取得や、短時間勤務、テレワークの増加が見込まれ、これまで以上に人手不足が深刻化する可能性があります。

中小企業の対応策

更なる働き方改革の実施

業務の属人化を解消し、業務の標準化を推進することが求められます。これにより、特定の従業員に業務が集中するリスクを軽減し、誰でも業務を遂行できる環境を整えることが可能です。また、無駄な仕事の廃止や、デジタルツールの導入、機械化の推進も重要な施策です。これにより、業務の効率化が進み、限られた人材を最大限に活用することができます。

労働時間など勤怠管理のデジタル化

育休や短時間労働の対象者が増加することに伴い、エクセルやタイムカードによる勤怠管理では、集計作業がさらに煩雑化し、担当者の負担が増加するだけでなく、間違いが発生するリスクも高まります。
この問題に対応するためには、勤怠管理のデジタル化が重要です。デジタルツールを導入することで、労働時間の管理が効率化され、担当者の業務負担を軽減できるだけでなく、正確なデータの集計が可能となります。さらに、リアルタイムでの状況把握が容易になり、迅速な対応が可能になります。

事務処理の事前準備

就業規則の見直し、労使協定の再締結、新しい書式の整備、従業員への制度説明、さらには給付金の管理や申請の準備など、対応すべき事務作業が多岐にわたります。
このような状況に備えるために、早期から必要な情報を収集、整理し、関連書類や手続きのフローを整備して、担当者がスムーズに対応できる体制を整えることが求められます。

 まとめ

2025年の育児休業関連法改正により、企業では対応が必要な領域は広範囲にわたり、他にも多くの業務を抱える中、育児休業関連の法改正への対応は大変な負担となることが予想されます。
ステム社会保険労務士事務所では、貴社のニーズに応じたサポートを提供いたします。ぜひ、無料相談などお気軽にご相談ください。

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