お役立ち資料 60分無料相談

社労士とのスポット契約とは?依頼できる業務やメリット・デメリットについて解説

クラウド勤怠管理就業規則社会保険手続給与計算
松林 大樹コステム社会保険労務士事務所 代表

社会保険労務士・ PHP研究所認定チームコーチ。厚生労働省や都道府県等のホワイト企業認定マーク取得、㈱ワーク・ライフバランス認定「働き方見直しコンサルティング」、クラウド勤怠管理システム導入など採用力・定着力向上のための働きやすい職場環境づくりを支援している。講演実績としてアサヒビール(株)、コクヨ(株)、(株)デンソーセールス、農林水産省など。石川県金沢市のコステム社会保険労務士事務所の代表を務める。 プロフィールはこちら https://www.costem-sr.jp/about/profile

社労士への業務委託を検討する経営者に向けて、スポット契約の利点と制約、メリットとデメリットを解説。スポット契約での社労士依頼のポイントや注意点をご紹介します。

社労士スポット契約とは?

社労士の契約形態について

社労士との契約には、毎月定期的にサポートを受ける顧問契約と、必要なときに業務を依頼するスポット契約の二種類があります。
顧問契約は、継続的なサポートを受けたい企業に適しており、従業員情報の管理や法改正対応などを包括的にサポートします。
一方、スポット契約は、特定の業務や一時的な問題解決に利用されることが多いです。
社労士事務所によっては顧問契約のみを提供し、スポット契約を行わない事務所もあるため、事前に確認が必要です。

参考記事:社会保険労務士(社労士)に相談する前の疑問を解消!相談・依頼できること
参考記事:小さい会社や、中小企業に社労士は必要? 顧問契約の経営上メリット

スポット契約の概要

スポット契約は、特定の業務を単発で社労士に依頼する契約方法です。
定額の顧問料は発生せず、依頼するごとに費用が発生するため、経済的にも効率的です。
この契約形態は、継続的なサポートが不要な企業や、一時的な問題解決を目的とするケースに適しています。
案件が完了すれば契約も終了するため、無駄なコストを避けられるのが大きなメリットです。これにより、経営資源を効率的に活用し、必要なときに専門的なサポートを受けることができます。

 スポット契約でできること

社会保険・労働保険の新規適用

起業し従業員を雇うと、従業員の資格取得手続きの前に、まずは会社として社会保険や労働保険の新規適用手続きを行う必要があります。
これらの手続きは、労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所など複数の役所への届出が必要で、知識や経験がないと混乱しがちです。
そのようなとき、社労士とのスポット契約が非常に役立ちます。
スポット契約を利用すれば、必要な時だけ専門的な支援を受けることができ、初めての手続きもスムーズに進められます。
これにより、経営者や人事担当者は手続きに費やす時間を削減し、本業に集中することができます。特に、継続して人の採用がないなど、初回だけの手続きが必要な場合には、スポット契約は非常に有効な選択肢です。

 各種社会保険・労働保険の手続き

たとえば

  • 従業員の採用・退職に伴う資格取得や喪失手続き
  • 離職票の作成
  • 産休・育休の保険給付や保険料免除の手続き
  • 男性の育休の手続き
  • 法改正による新たな手続き
  • 年度更新や算定基礎の手続き
  • 労災事故の保険金請求 
  • 病気休職した従業員の傷病手当金請求 など

これらの手続きを正確かつ効率的に行うことで、経営者や人事担当者は本業に集中でき、企業の運営がスムーズになります。

就業規則の作成と更新

法改正や会社のルール、会社の体制が変わったとき、新たに就業規則を作成したり更新する必要があります。
そんなときに厚生労働省のひな型や他社の規程をそのまま使うと、自社の実態に合わないことが多く、実際の運用に問題を引き起こす可能性があります。
就業規則の作成や更新には、労働法の知識と経験が求められます。
社労士は専門的な知識を持ち、会社の実態に即した就業規則を作成・更新してくれるため、企業が法令を順守しつつ、実態に即した規則を整備することができます。

 労使協定書の作成と更新

以下のような場合に労使協定の締結や届出の手続きが必要になります。

  • 時間外労働や休日労働が発生するとき
  • 時間単位の有給休暇を取得させたいとき
  • 賃金から社会保険料や税金以外の金銭を控除したいとき
  • 有給休暇の計画的一斉付与を実施したいとき
  • 休憩を交替でとらせたいとき
  • 1年単位の変形労働時間制を導入したいとき など

これらの労使協定は、企業の運営において欠かせないものであり、適切に締結し、定期的に更新することが求められます。
労働基準法を始めとする関連法規に精通した社労士が関与することで、法令を順守しながら、実際の労働環境に即した協定書を作成することが可能です。

賃金制度や人事制度の見直し

  • 毎年の最低賃金の引き上げ対応
  • 人手不足の時代における従業員の定着力向上
  • 外部環境の変化
  • 会社の成長に応じた制度の見直し などの場面で

賃金制度や人事制度の誤った改定を実施してしまうと、従業員の不満やモチベーション低下を招く可能性があります。
最悪の場合、従業員の大量退職につながり、企業の運営に深刻な影響を及ぼすこともあります。
また、法律に抵触する変更は、法的なトラブルを引き起こし、企業の信頼性を損なうリスクもあります。
しかし、具体的な変更内容やその影響を正確に把握し、適切な対応を行うことは容易ではありません。
社労士は、労働法や賃金制度に関する専門知識や経験を持ち、変更の影響をシミュレーションしながら適切なアドバイスを提供してくれます。

ハラスメントなど各種研修

企業にとって労働法や組織運営に関する研修は、従業員の能力向上と会社の規律強化に効果があります。
しかし、中小企業では、研修のための専門的な知識や経験を持つ講師を社内で確保するのは困難であるため、労働法や会社のルールに精通している社労士に研修を依頼することが効果的です。
社労士に依頼できる研修の主な種類には以下のものがあります。

  • 管理職向けや従業員向けのハラスメント研修
  • 労働法の知識を提供する管理職研修
  • 新入社員向けの新人研修
  • 法改正に対応する研修
  • 定年後の年金や退職金制度などリタイアメント研修
  • 育児休業や介護休業など福利厚生に関する研修 など

労働基準監督署など調査対応

労働基準監督署や労働局、年金事務所、ハローワークなどから、突然調査の連絡が届きます。
これに対して、十分な知識や経験がないまま調査に臨むと、役所からの質問に適切に回答できなかったり、不安やストレスを感じたりすることがあります。
また、従業員が労働基準監督署や労働局を通して訴えを起こした場合、対応を誤ると大事に発展するリスクがあります。
特に中小企業では、こうした調査に対応する経験や知識を持つ人材が不足していることが多く、対応に困ったり、経営者自らが対応することも少なくありません。
社労士は、労働基準法や関連法令に精通しており、調査に際して必要な準備や対応を代行してくれます。
調査で具体的な修正が必要な個所については修正方法を確認し、役所の担当者に対して主張すべきことを適切に伝えることで、一方的な指摘を回避できます。
社労士のサポートを受けることで、企業は安心して調査に臨むことができ、適切なアドバイスを提供し、トラブルの早期解決を図り、ストレスや時間を軽減することができます。

スポット契約でできないこと

給与計算業務

給与計算業務がスポット契約で難しい理由の一つに、従業員の給与情報など事前に詳細な情報設定が必要である点が挙げられます。
給与計算を正確に行うためには、従業員一人ひとりの基本給や手当、控除額に加え、各従業員の扶養家族の情報、社会保険の標準報酬月額、住民税額などのデータを常に最新の状態に保つ必要があります。
スポット契約では、これらの情報を随時更新し、正確に反映させることが困難です。
また、賞与計算の際には、前月までの給与金額や支給実績などのデータが必要となります。
これらのデータを正確に把握し、計算に反映させるためには、事前の情報収集、計算ソフトへの設定、継続的な管理と細やかな調整が欠かせません。
スポット契約では、こうした細部まで対応することが難しく、給与計算の正確性を担保することができません。
給与計算業務は、企業の信頼性や従業員の満足度に直結する重要な業務です。したがって、スポット契約ではなく、継続的なサポートを提供できる体制を整えることが望ましいです。

関連記事:給与計算の外注は社労士がおすすめ?税理士との違いも解説

勤怠管理

勤怠管理がスポット契約で難しい主な理由は以下の通りです。

  • 就業規則の内容の把握が必要
  • 打刻方法の理解が必要
  • 仕事の内容の把握が必要
  • 正社員、パートタイマーなど働き方の多様性の把握が必要
  • 有給休暇などの休暇管理方法の把握が必要
  • 忌引きなどの特別休暇の扱いの理解が必要
  • 公休日などの休暇の把握が必要
  • 変形労働時間制の適用の有無の把握が必要

具体的な労働トラブルの解決支援・労務相談

一般的な内容の回答や対応はスポット契約でも対応は可能ですが、具体的な状況に適切に対応するためには、継続的な情報収集と把握が必要です。
労働トラブルの具体的な解決支援や労働相談がスポット契約で難しい主な理由は以下の通りです。

  • 従業員の個人情報や仕事内容の把握に時間がかかる。
    労働トラブルの解決には、従業員一人ひとりの詳細な情報が必要です。
    スポット契約では、これらの情報を迅速に収集することが困難です。
  • これまでの勤怠情報や給与情報の把握に時間がかかる。
    過去の勤怠記録や給与情報を正確に把握することが、トラブル解決の鍵となることもありますが、スポット契約ではこれらの情報をすぐに把握することが難しいです。
  • 組織全体の組織図の把握が困難。
    組織の構造や役割分担を理解することは、労働トラブルの背景を把握するために重要ですが、スポット契約では組織図の全体像を迅速に把握することができません。
  • これまでに発生していた問題の把握。
    過去の問題やその対応履歴を知ることは、現在のトラブル解決に役立ちますが、これらの情報を迅速に収集することが難しいです。

スポット契約のメリット

 柔軟な契約期間と料金体系

スポット契約の最大のメリットは、必要な業務を単発で依頼できるため、費用を抑えられる点です。顧問契約の場合、毎月一定の費用が発生しますが、スポット契約では自社が本当に必要としている業務のみを依頼することができるため、無駄な出費を避けることができます。これにより、費用のコントロールがしやすくなります。
また、スポット契約は契約期間も柔軟です。業務に必要な期間のみ契約することができるため、相性が合わない場合や業務の内容が変わった場合でも、簡単に契約を見直すことができます。この柔軟性は、企業のニーズに合わせた迅速な対応を可能にし、コストパフォーマンスの向上に寄与します。

必要なときに助言や対応が受けられる

新規法人の設立や特定の労働問題が発生した際、自社では対応が難しい手続きや問題に直面することがあります。
スポット契約は、企業が必要とする時に専門的なサポートを迅速に受けることができるため、非常に有益です。この柔軟な対応により、企業は効果的に問題解決を図り、本業に集中することができます。

スポット契約のデメリット

契約期間の制約

スポット契約は特定の業務に対してのみ契約を結ぶため、依頼した業務以外の相談や対応が必要になった場合、再度契約を結ぶ必要があります。これが頻繁に発生すると、かえってコストが高くなるリスクがあります。

業務の一部しか依頼できない

先に書いたように、スポット契約では依頼することができない業務があります。
そのため、企業内で誰かがこれらの業務を管理し、必要なデータを収集して、依頼内容を振り分ける必要があります。
データの収集や整理を適切に行われないと、業務が円滑に進まない可能性があります。

従業員情報を都度共有する必要があり、煩雑

保険手続きや労務相談などを実施する際には、正確な従業員情報や給与情報が必要不可欠です。
スポット契約では、依頼するたびに情報を整理し、社労士と共有する必要があります。
例えば、従業員の入退社や給与の変更などがあった場合、その都度新しい情報を共有しなければなりません。
このプロセスがスムーズに行われないと、業務の進行に支障をきたし、手続きの遅延や誤った手続きを実施する可能性があります。
また、情報共有の手間が増えることで、社内の担当者の負担も大きくなります。
特に中小企業では、リソースが限られているため、この手間が業務効率に悪影響を及ぼすことがあります。

担当者とのコミュニケーションの調整が必要

スポット契約では、業務を依頼する都度、担当者が変わる可能性があります。
これにより、以下のデメリットが考えられます。

  • 相性の問題:
    担当者との相性が合わない場合、スムーズなコミュニケーションが難しい。
  • 理解度の問題:
    担当者が企業の特定の事情や背景を十分に理解していない場合や、文章の理解度が低いと、詳細な説明が必要で手間がかかる。
  • 説明の不十分:
    担当者が説明が下手な場合、誤った理解をしたり、理解をするのに時間がかかり、手続きがスムーズに進められなかったり、滞ったりすることがある。
  • 業務習熟度や経験不足:
    担当者の業務習熟度や経験が低い場合、適切なサポートを受けることができないことがある。

まとめ

人手不足の環境や働き方改革法、男性育休者の増加などにより、労働法の知識と経験を持つ社労士に業務を依頼することが、効果的な業務改善につながるケースが増えています。社労士のスポット契約を効果的に活用し、企業の業務発展に役立てていきましょう。

労務に関することなら
お気軽にご相談ください

お問い合わせ・ご相談

全国対応可能!
60分無料相談会開催中です。
お気軽にご利用ください。

お問い合わせする

会社案内ダウンロード

社内で検討用の会社案内を
PDFでご用意いたしました。
ダウンロードしてご活用ください

ダウンロードする

お電話でのお問い合わせ

076-298-2207 平日:10:00-12:00 13:00-17:00

メールマガジン

    下記のメールフォームからメールマガジンにご登録いただくと、最新のセミナー・研修情報や、人事・労務に役立つ情報をお届けいたします。

    会社名

    お名前*

    メールアドレス*