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給与計算の外注は社労士がおすすめ?税理士との違いも解説

給与計算
松林 大樹コステム社会保険労務士事務所 代表

社会保険労務士・ PHP研究所認定チームコーチ。厚生労働省や都道府県等のホワイト企業認定マーク取得、㈱ワーク・ライフバランス認定「働き方見直しコンサルティング」、クラウド勤怠管理システム導入など採用力・定着力向上のための働きやすい職場環境づくりを支援している。講演実績としてアサヒビール(株)、コクヨ(株)、(株)デンソーセールス、農林水産省など。石川県金沢市のコステム社会保険労務士事務所の代表を務める。 プロフィールはこちら https://www.costem-sr.jp/about/profile

給与計算は企業にとって重要な業務ですが、その一方で手間がかかり、法令遵守が求められる複雑な作業でもあります。そこで、給与計算を社会保険労務士(以下、「社労士」)に外注することの企業メリットをまとめました。

給与計算は、社労士・税理士のどちらに依頼すべきか?

社労士ができること

社労士は、給与計算業務に関連して以下の業務を行うことができます。

  • 社会保険手続き:社会保険の加入・脱退手続き、労働保険の書類作成・提出を代行。
  • 入退社手続き:従業員の入社・退社に伴う各種手続きを代行。
  • 標準報酬月額の管理:標準報酬月額の管理や社会保険料率の変更対応。
  • 労働保険料率の管理:労災保険料、雇用保険料など料率の変更対応。
  • 勤怠管理のサポート:残業時間の確認や勤怠管理の不明点の解消。
  • 育児休業者などの対応:育児休業者など休業者に関する給与計算と給付金や保険料免除の手続きを同時に対応。
  • 労務管理全般:その他労務に関する各種相談に対応し、適切なアドバイスを提供。

税理士ができること

税理士は、給与計算業務に関連して以下の業務を行うことができます。

  • 年末調整の代行:給与計算だけでなく、従業員の所得税の計算や控除の適用など、年末調整業務もまとめて依頼できます。
  • 税務処理:給与計算に伴う税務処理を効率的に行い、企業全体の税務戦略をサポートします。

給与計算を社労士に外注するメリットとは?

最新の法改正対応を任せられる

給与や税金に関する法律は頻繁に改正され、最新の法改正に対応するための専門知識が不可欠です。
給与計算を外注することで、法改正のたびに自社の従業員が学習する手間を省け、重要な業務に集中できます。
さらに、社内で給与ソフトを運用する場合、ソフトのアップデート後に担当者が正しく運用する必要がありますが、外注すればそのリスクを避けられます。
外注先の専門家が最新の法改正情報を把握し、適切に対応するため、社内の負担が大幅に軽減されます。

給与計算ソフトの準備が不要になる

自社で給与計算システムを導入し、維持管理するには多大なコストがかかります。
導入時の初期費用や、保守・アップデートに伴う継続的な費用は経営の負担となります。
しかし、アウトソーシングを利用すれば、これらのシステムにかかるコストを大幅に削減できます。
さらに、ソフトの設定や更新作業からも解放されるため、社内リソースを他の重要な業務に集中させることが可能です。

従業員の給与に関する情報が他の従業員に漏洩するリスクを低減

社内で給与計算を行う場合、給与情報が担当従業員の不注意や意図的な行動により他の従業員に知られることがあります。
特に、給与水準が低い担当者が不満を抱いたり、社長の報酬額が漏洩したりすると、トラブルの原因になります。
アウトソーシングを利用すれば、給与データは外部の専門機関が管理し、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることができます。
これにより、社内の信頼関係を維持し、安心して業務に集中できる環境を作ることができます。

人材の確保。休業、退職、病気休職時の対応が不要に

給与計算に関する専門知識や経験を持った従業員の確保は難しく、給与計算業務は毎月正確かつ迅速に行う必要があります。
特に、育児休業、介護休業や退職、急な病気休職などが発生した場合、対応が遅れると支払遅延や計算ミスが起こるリスクがあります。
外注すれば、これらのリスクを避けられ、安定した給与計算が可能になります。
人材確保や急な出来事の対応に追われることなく、重要な業務に集中できる環境を整えることができます。

メイン業務に注力できる

給与計算は毎月必ず発生し、高い専門性が求められるため、対応に時間と労力を要します。
この業務を社内で行うと、他の重要なタスクの納期が遅れたり、優先度の高い仕事に手が回らなくなり、業務効率が低下する恐れがあります。
しかし、アウトソーシングすることで、社員は本来の業務に集中でき、作業効率が向上します。
結果的に、企業全体の業績や売上のアップにも繋がるでしょう。
定型的な業務を専門家に任せることで、優秀な人材をより戦略的な業務に活用することができます。

社労士なら労務・社会保険関連の手続きを任せられる

社労士は入退社手続きや社会保険の定時決定・随時改定、賞与支払届、労働保険料申告などを迅速かつ正確に処理できます。
また、社労士は雇用保険や社会保険のルールに精通し、最新の知識を持っているため、毎月の保険料を正しく給与から控除することができます。
これにより、社内の担当者は複雑な手続きから解放され、重要な業務に集中でき、業務効率の向上に繋がります。

労働時間や、残業時間の集計なども任せられる

正しい残業代を計算するためには、就業規則や賃金規程を正確に読み解く知識とスキルが必要です。
社労士は労働法令や通達に精通しており、法に則った正確な残業代の計算が可能です。
また、どの時間を残業時間とするか、有給休暇の付与時の労働時間の集計など、勤怠管理には労働法の知識が欠かせません。
社労士に外注することで、これらの煩雑な業務を専門家に任せ、社内の担当者は本来の業務に集中することができます。

産休や育児休業、産後パパ育休などの保険料免除の確認も任せられる

産休や育児休業、産後パパ育休時の休業期間中に一定条件を満たすと社会保険料が免除されますが、その判断には専門知識が必要で、誤りが起こりやすいです。
また、育休復帰時の社会保険料の控除も複雑で間違えやすいです。
社労士はこうした手続きを専門知識を持って正確に行うため、安心して任せることができます。

賃金規程に基づいた計算ができる

賃金規程を正確に読み解くには専門知識が必要であり、手当の計算方法や中途入社、欠勤遅刻早退控除の計算などは非常に煩雑で難しい作業です。
社労士はこれらの規程を熟知しており、正確に適用するスキルを持っています。また、社労士は賃金規程の作成も請け負っており、企業に最適な規程を設計することができます。
そのため、社労士に外注することで、複雑な計算を任せられ、社内の業務効率を高めることができます。

手続きに賃金台帳が必要なときに、都度送る手間が省ける

離職票の作成、休業補償給付金の請求、産休育休の給付金申請、算定基礎届、随時改定、年度更新など、社会保険や労働保険の手続きには給与データが頻繁に必要です。
社労士に給与計算を外注していれば、これらの手続きに必要な賃金データを別途送る手間が省けます。

外部の専門家に給与計算を依頼する際のフロー

STEP1 委託先の候補収集。委託先の専門性の確認

まず、信頼できる委託先を選ぶために情報収集を行いましょう。

主な委託先候補には、税理士、社労士があります。各候補の専門性を確認することが大切です。税理士は税金の専門家で、年末調整を依頼することもできます。社労士は給与計算に必要な社会保険、労働保険に精通しています。

STEP2 業務範囲の確認

どの業務をどのように担当してもらえるかを確認することが重要です。以下のポイントを参考に、具体的な業務範囲を明確にしましょう。

  • 勤怠の集計: 勤怠データの収集や集計を行ってくれるか。
  • 有給休暇の管理: 有給休暇の取得や残日数の管理方法。
  • 欠勤・遅刻・早退控除: 欠勤や遅刻の控除計算を含むか。
  • 育児休業の保険料免除: 育児休業中の社会保険料免除手続き。
  • WEB給与明細: 給与明細のWEB対応や紙での封入対応。
  • 住民税異動届: 住民税の異動届出手続き。
  • 年末調整: 年末調整業務の対応。

これらの業務範囲を確認し、自社のニーズに合った委託先を選ぶことが大切です。事前にしっかりと確認することで、スムーズな業務移行が可能になります。

STEP3 納品手段の確認

以下の点を事前に確認しましょう。

  • 給与明細の形式: 給与明細が紙で提供されるのか、WEB形式で提供されるのかを確認します。WEB形式であれば、従業員がインターネットで簡単にアクセスできます。
  • 振込データの形式: 振込データが全銀ファイル形式で納品されるか、銀行に手入力する必要があるかを確認します。全銀ファイル形式なら銀行振込がスムーズに行えるため、手間と時間を大幅に削減できます。

これらの納品手段を確認することで、給与支払い業務がスムーズに進行し、ミスを防ぐことができます。最適な委託先を選び、納品手段を明確にしておきましょう。

 STEP4 セキュリティ体制の確認

近年、サイバー攻撃は巧妙化しており、被害も増加しています。委託先のセキュリティ体制を事前に確認しましょう。
具体的には、データの暗号化、アクセス制限、セキュリティ監査の実施などが重要です。セキュリティポリシーやデータ保護方針も確認し、信頼できる委託先を選ぶことが大切です。

社労士へ給与計算を依頼する際の料金

料金体系と相場

料金体系は、計算する従業員数が多いほど料金が高くなる従量課金型「基本料金+単価×従業員数」が一般的です。
相場は基本料金が1万円~2万円、従業員1人あたりの単価が500円~1,500円程度です。
また、就業規則の作成、従業員の入退社手続き、社会保険料変更手続きなどを追加で依頼する場合、その分の費用が加わります。

参考記事:社会保険労務士(社労士)の契約の費用はいくらが相場か?

まとめ

給与計算を社労士に外注することは、企業にとって多くのメリットがあります。
人事労務担当者は本来の業務に専念でき、生産性が向上します。社労士への外注は、法令遵守、コスト管理、業務効率化の観点から、企業にとって非常に有益な選択です。
給与計算の外注をご検討の方は、是非、コステム社会保険労務士事務所までご相談ください。

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