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給与計算をミスしたとき?対処法や防止策を徹底解説

給与計算
松林 大樹コステム社会保険労務士事務所 代表

社会保険労務士・ PHP研究所認定チームコーチ。厚生労働省や都道府県等のホワイト企業認定マーク取得、㈱ワーク・ライフバランス認定「働き方見直しコンサルティング」、クラウド勤怠管理システム導入など採用力・定着力向上のための働きやすい職場環境づくりを支援している。講演実績としてアサヒビール(株)、コクヨ(株)、(株)デンソーセールス、農林水産省など。石川県金沢市のコステム社会保険労務士事務所の代表を務める。 プロフィールはこちら https://www.costem-sr.jp/about/profile

間違えずに出来て当たり前と思われる給与計算。担当者が気をつけても、ミスが発生することがあります。
上場企業でもミスは発生していて、2019年12月大手コンビニチェーンが残業手当の計算式の設定を誤り、正しい金額が支払われていなかったと発表がありました。
今回は、そんな給与計算のミスが発生した場合の対処法から、防止策までを徹底解説します。

給与計算における一般的なミスの種類

時間外など割増賃金の計算ミス

  • 基礎賃金の誤認識
    基本給しか基礎賃金に含めないなど、基礎賃金に含まれる範囲を誤解すると、割増賃金の計算ミスにつながります。
    月給制の場合、基本給だけでなく手当の扱いを正しく把握することが重要です。
    また、昇給などがあったにもかかわらず、変更を失念していることで、基礎賃金が誤っているケースもあります。
  • 法定内残業と法定外残業の区別
    法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えるかどうかを正確に判断しましょう。
    法定内残業に割増をつけるかどうかの確認も必要です。
  • 割増率の適用ミス
    時間外労働、深夜労働、休日労働ごとに異なる割増率を正確に適用することが大切です。
    適切な割増率を適用しないと、労働法違反になるリスクもあります。
  • 管理監督者の適用ミス
    管理職を誤って管理監督者として扱ってしまい、本来支給が必要な時間外手当や休日手当などの割増賃金を支払っていないミスがあります。

手当の付与・控除ミス

  • 役職手当や資格手当の未反映
    従業員が昇進したり、新たに資格を取得した場合に、関連する手当を給与に反映し忘れることがあります。
  • 住所変更や扶養家族の増減の未反映
    従業員の住所が変更された際の通勤手当の変更や、扶養家族の増減による家族手当の変更を見落とすケースが見られます。
  • 欠勤や遅刻早退の控除の計算の誤り
    欠勤や、遅刻早退の控除式の計算を間違っていることがあります。
    欠勤や、遅刻早退のときに、控除の対象となる手当はどの手当か?家族手当や住宅手当などは含むのか?
    また、分母の日数や時間数は、平均所定労働日数(時間数)なのか?その月の所定労働日数(時間数)なのか?

税金や社会保険料の計算ミス

  • 標準報酬月額の誤り
    社会保険料の計算には標準報酬月額が基準となりますが、この手続きを誤ったことで、控除額に誤差が生じることがあります。
    参考:日本年金機構「厚生年金保険の保険料
  • 社会保険料率の適用ミス
    社会保険料率は定期的に変更されるため、最新の料率を反映していないと計算ミスが発生することがあります。
  • 入社月・退職月の社会保険料控除ミス
    末締めでない場合の入社月や、退職月の計算において、何月分まで控除が必要なのか?不要なのかの理解が不十分で計算ミスが発生することがあります。
  • 産休・育休の保険料免除ミス
    産休や育休中は一定の条件で社会保険料が免除される場合がありますが、
    これを反映し忘れると過剰な控除が行われるリスクがあります。
    参考:日本年金機構「育児休業等を取得し、保険料の免除を受けようとするとき
  • 年齢に伴う変更の見落とし
    40歳を超えると介護保険料が発生し、70歳や75歳になると健康保険や年金の扱いが変わります。これらの変更を適切に反映しないと、余分な控除が続いてしまうこともあります。
  • 住民税額の控除ミス
    住民税の控除は該当する月に正しく反映する必要があり、月を間違えると過剰または不足の支払いになります。

勤怠集計ミス

紙のタイムカードや手書きの勤務表で管理していたり、複雑な勤務体系により、勤怠の集計ミスが発生することがあります。

  • 残業時間の計算ミス:残業時間が正しく集計されていないことで、割増賃金が正しく計算されない。
  • 休日出勤の未反映:休日出勤の記録が抜けると、正しい休日手当が計算されない。
  • 有給休暇の誤った処理:有給休暇の付与や消化をカウントできていなかったり、半日単位・時間単位などの集計ミスで正しく計算されない。
  • 遅刻・早退の未反映:遅刻や早退が記録されていない。
  • 振替休日のミス:法的要件を満たしていない方法で休日を振り替えている。

 給与計算ミスが発生した場合の対処法

従業員への説明・お詫び

給与計算ミスが発生した場合、迅速かつ丁寧な従業員への説明とお詫びが不可欠です。以下のポイントを押さえて対応することが重要です。

  • 早期の説明と謝罪
    ミスが判明したら、まずは従業員に対して早急に説明を行います。
    個別のミスの場合は、対面での説明が理想ですが、状況に応じてメールや電話での対応も適切です。複数の従業員に影響が及ぶ場合は、ミスの内容、原因、今後の対策を詳細に記載した文書を作成し、書面やメールで通知します。
  • 具体的かつ誠実な説明
    ミスの内容と修正方法について、具体的に説明し、事務的な表現を避けて誠意ある態度で謝罪します。
    従業員が納得できるよう、反省の意を込めることが大切です。
  • 進捗報告の実施
    ミス修正の進捗状況を随時報告し、信頼関係を保つことが必要です。
    従業員の不安を解消するためにも、誠実な対応を心がけましょう。

再計算と支給調整

  • 再計算
    ミスが発生した月の給与計算を正確にやり直し、正しい金額を算出します。
    修正後の金額と、誤った金額の差額を確認します。この際、単に支給合計額だけでなく、各手当や控除項目ごとの差額も詳細に把握します。
  • 支給調整
    差額が生じた場合、直近の支給分に間に合うようであれば、その支給時に過不足額を調整します。
    誤りがあった手当や控除額を修正するか、調整手当など別途項目を設けて対応します。
  • 正しい給与明細の発行
    ミスを訂正した給与計算に基づき、正しい給与明細を発行し、従業員に説明します。

所得税、社会保険、労働保険の修正手続き

  • 所得税、住民税の修正手続き
    当年度のミスについては、所得税の過不足分を源泉所得税の納付時に調整します。
    過去年度にさかのぼるミスがあった場合は、税務署や市役所に過年度分の修正申告が必要です。
  • 社会保険の修正手続き
    標準報酬月額に誤りがあった場合は、年金事務所への修正申告が必要です。
  • 労働保険の修正手続き
    労働保険について、年度更新で確定保険料を申告済みの場合は、誤りが判明した際に修正申告を行います。

給与計算ミスをなくすための基本対策

給与計算ソフトの活用

従来の電卓やエクセルでの手作業をやめ、市販の給与計算ソフトを導入することで、作業の正確性と効率が大幅に向上します。

  • 給与計算ソフトの主な機能
    自動的に給与や賞与、社会保険料、所得税などを計算し、給与明細の作成・配布もサポートします。また、年末調整の業務も簡単に行えるため、担当者の負担を軽減します。
  • 活用のメリット
    ソフトを活用することで、人為的な入力ミスを減らし、業務の効率化が図れます。
    また、法令や税制の改正にも自動で対応するため、最新のルールに基づいた計算が可能になります。

チェックリストの作成

正しいチェックリストを作成し活用することで、作業や漏れ入力ミスを防ぐことできます。

  • チェックリストの内容
    年間で必要な手続き、従業員の入退社時の対応、毎月の給与計算の手順などをリスト化しておくことです。
  • チェックリストの活用効果
    作業漏れの防止、入力ミスの削減、複数人での確認作業が可能、業務手順のマニュアル化に役立ち、新任担当者の引き継ぎも円滑になります。
  • 注意点
    チェックリストは定期的に見直し、法改正や社内規定の変更に対応する必要があります。また、チェックリストを使っても不明点が生じた場合は、速やかに上司や専門家へ相談することが大切です。

給与計算スケジュールの見直し

適切なスケジュール管理を行うことで、時間的な余裕を持った正確な給与計算が可能になります。

  • 十分な作業期間の確保
    給与締め日から支払日までの期間を適切に設定することで、勤怠の確認や計算ミスのチェックに十分な時間を持つことができます。振込日が土日祝で金融機関が休みの日に重なる場合であったり、年末年始やお盆の月など稼働が少ない月のことも考慮し、締め日から支払日まで20日以上空いていることが理想的です。
  • 早期開始
    給与締め日直後から計算作業を始めることで、十分な作業時間を確保できます。出来るだけ仕事が重ならないよう調整することが大事です。

複雑・多様な労働条件の見直し・簡素化

複雑・多様な労働条件を見直し、簡素化することが重要です。

  • 給与体系の整理
    複雑な手当体系を見直し、基本給に統合したり、手当や免除項目を必要最小限に絞るなど計算方法を統一することも有効です。
  • 勤務形態の標準化
    正社員、パートタイマー、契約社員、短時間社員など多様な勤務形態を整理し、可能な限り標準化します。
  • 就業規則(賃金規程)の見直し
    複雑な規定や曖昧な表現を整理し、明確で理解しやすい表現に変更します。
    また、不要な規定や重複するルールを削除し、規則をシンプルにします。

勤怠集計のシステム化

従来の手作業による管理から、自動化されたシステムへの移行により、ミスの削減と業務効率の向上が期待できます。

まとめ

給与計算のミス削減のためのルール整備や、勤怠システムの導入などには、法律の理解、実務経験、システムの知識 が必要です。
お困りの方は、60分無料相談を活用し、コステム社会保険労務士事務所までご相談ください。

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