社会保険労務士・ PHP研究所認定チームコーチ。厚生労働省や都道府県等のホワイト企業認定マーク取得、㈱ワーク・ライフバランス認定「働き方見直しコンサルティング」、クラウド勤怠管理システム導入など採用力・定着力向上のための働きやすい職場環境づくりを支援している。講演実績としてアサヒビール(株)、コクヨ(株)、(株)デンソーセールス、農林水産省など。石川県金沢市のコステム社会保険労務士事務所の代表を務める。 プロフィールはこちら https://www.costem-sr.jp/about/profile
物価高騰に合わせた企業の賃金の対応について。インフレ手当?ベースアップ?定期昇給?
就業規則給与計算
松林 大樹コステム社会保険労務士事務所 代表
近年、物価高騰が深刻な問題となっています。
そのため、企業に対して、賃金の対応が求められ、人手不足な状況が続く中、各企業が様々な形でその要求に対応しています。
この記事では、物価高騰に合わせた賃上げ施策として行われることが多い「インフレ手当」「ベースアップ」「定期昇給」について、それぞれの仕組みと企業側のメリット・デメリットを詳しく解説します。
今回の記事を通して、物価高騰の対応として賃金の対応を行う企業様にとって、参考になる情報を得ることができれば幸いです。
Table of Contents
物価高騰に合わせた賃上げ施策について
【ベースアップとは?】
全社員の給与水準を一律引き上げる制度で、基本給を一律〇%引き上げたり、賃金テーブル表そのものを書き換えたりする制度です。
例:
4年大卒22歳で入社。
ベースアップ前の年に入社した人の基本給:200,000円
ベースアップ5%昇給適用後の年に入社した人の基本給:210,000円
【定期昇給とは?】
社員の年齢や勤続年数などに応じて、会社で決めたルールに基づいて、昇給する制度です。
例:
4年大卒22歳で入社。
定期昇給前後の入社した月の、基本給は変わりません。
【インフレ手当とは?】
物価高騰対応のために、企業が支給する手当。
毎月支給する会社と、賞与と一緒に一時金で支給する会社とあります。
各施策の企業側のメリット・デメリットとは?
施策 | 企業側のメリット | 企業側のデメリット |
ベースアップ | ☑従業員の安心感・満足感 ☑従業員のモチベーション向上 ☑定着率向上 | ☑人件費負担増 |
定期昇給 | ☑従業員の安心感・満足感 ☑年齢や勤続年数によって、昇給額を調整できる。 | ☑年齢や勤続年数以外の成果を出している従業員の不満が出やすい。 |
インフレ手当(毎月) | ☑賞与や、退職金算定の基礎に基本給が連動している場合、手当とすることで、賞与や、退職金に影響が出ない。 ☑人事評価に基づいて基本給などが決定していた場合、物価高騰による昇給分がわかりやすく納得感を得られやすい。 ☑物価高騰が落ち着いた場合、手当をやめることが出来る可能性がある。 | ☑いつかなくなるのではないか、という従業員側の不安。 |
インフレ手当(一時金) | ☑一時的な支給のため、企業利益が出ていれば、先の事をあまり考える必要がなく、比較的多くの金額を分配しやすい。 ☑一時金のため、将来的に企業負担が少なくなる可能性が高い。 | ☑次回、支給されるかわからないため、従業員の不安、不満が解消されにくい。 |