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給与の締め日と支払日の基本的なガイド!決め方や注意点を解説

給与計算
松林 大樹コステム社会保険労務士事務所 代表

社会保険労務士・ PHP研究所認定チームコーチ。厚生労働省や都道府県等のホワイト企業認定マーク取得、㈱ワーク・ライフバランス認定「働き方見直しコンサルティング」、クラウド勤怠管理システム導入など採用力・定着力向上のための働きやすい職場環境づくりを支援している。講演実績としてアサヒビール(株)、コクヨ(株)、(株)デンソーセールス、農林水産省など。石川県金沢市のコステム社会保険労務士事務所の代表を務める。 プロフィールはこちら https://www.costem-sr.jp/about/profile

給与の締め日と支払日をどのように設定すれば良いのか悩んでいませんか?本記事では、給与締め日と支払日の基本的な定義から、法律的な観点、よくある設定例、さらに従業員の生活を考慮した適切な支払スケジュールの決め方まで詳しく解説します。

給与締め日・支払日とは何か

法律の側面

法律的には、労働基準法第24条に基づき、賃金の支払いは「毎月1回以上の支払い」と「定期日払い」が原則とされています。
すなわち、給与は月に一度以上、かつ特定の期日に支払わなければなりません。
例えば、締め日を毎月末に設定し、翌月10日に支払うといった具体的な日付が必要です。

給与の締め日

締め日とは、1ヶ月分の給与を計算するために、給与計算の対象となる期間の最終日が締め日となります。
例えば、締め日を毎月25日に設定した場合、25日までの労働時間や業務内容がその月の給与計算の対象となります。

給与の支払日

給与の支払日とは、締め日に基づいて計算された給与を従業員に実際に支払う日を指します。
支払日は労働基準法に基づき、毎月一定の日に定める必要があります。
支払日には、「当月払い」と「翌月払い」の2つの方法があります。
当月払いは、締め日と支払日が同じ月に設定される場合です。
例えば、15日締めで25日に支払うといった形です。
一方、翌月払いは、締めた月の翌月に給与を支払う方法です。
例えば、月末締めで翌月20日支払いといったケースです。

給与の締め日と支払日の適切な設定のポイント

支払日が金融機関の休日の場合も考慮する

給与の支払日が金融機関の休日にあたる場合、直近の営業日を支払日とすることが一般的です。
特に、支払日を月末に設定している場合、月末が土日や祝日に重なるときは、必ず前営業日に給与を振り込む必要があります。
スケジュールに余裕がないと、前倒しの対応が難しくなります。

年末年始や、お盆、GWなどの稼働日が少ない月の対応

年末年始やお盆、ゴールデンウィークのように稼働日が少ない月は、給与計算の時間が限られ、通常のスケジュールでは給与計算が間に合わないこともあります。

労働基準法(賃金支払いの5原則)を確認

給与の締め日や支払日を適切に設定する際、労働基準法が定める「賃金支払いの5原則」を確認することが不可欠です。
1.通貨支払いの原則:基本的には現金で支払いますが、労働者の同意があれば銀行振込も可能です。
2.直接支払いの原則:給与は労働者本人に直接支払う必要があり、第三者への支払いは認められません。
3.全額払いの原則:給与は控除の条件を守り、全額支払う義務があります。
4.毎月1回以上の支払い:少なくとも月に1回の支払いが必要です。
5.定期日払いの原則:毎月一定の日に支払日を設定することが求められます。

参考:厚生労働省「賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい。

締め日から支払日までの無理のない作業日数の確保

以下は、給与の締め日と支払日のよくある設定例です。
企業規模や特徴に応じて異なる組み合わせが一般的です。

締め日支払日特徴例
20日締め当月末日中小企業で多い
月末締め翌月25日大企業で一般的
月末締め翌月10日ベンチャー企業で多い

従業員の生活を考慮した支払スケジュール

一般的には、締め日から支払日までに20日程度の余裕を持たせることが推奨されています。
この期間があれば、以下の作業を計画的に進めることが可能です。

  1.  勤怠データの集計と確認(締め日+5日まで)
  2.  給与計算と各種控除の計算(締め日+5〜10日)
  3. 給与明細作成、エラーチェック、振込データ作成(締め日+10〜15日)

このように段階的に作業を進めることで、作業時間が不足するリスクを抑え、ミスやエラーを未然に防げます。
また、担当者の負担軽減にもつながり、従業員対応もスムーズに行うことができます。

給与以外の支払日との調整

会社には給与以外にも、社会保険料や税金、各種固定費などの支払いがあり、これらを考慮することで資金管理がスムーズになります。
例えば、社会保険料の納付期限は翌月末日、源泉所得税や住民税の納付は翌月10日が期限です。
これに加えて、家賃や光熱費などの固定費も一定日が支払い日となっているため、全体のキャッシュフローを把握したうえで、給与支払日を調整することが推奨されます。

就業規則(賃金規程)への記載

就業規則(賃金規程)に明確に記載することは、法的要件を満たすだけでなく、従業員との信頼関係を築くうえで大切なポイントです。

記載のポイント

  • 締め日と支払日:具体的な日付を明記します。
    例:「締め日は毎月末日、支払日は翌月20日とする」。
  • 例外規定:支払日が金融機関の休日の場合の対応も記載。
    例:「支払日が休日の場合は、その前営業日に支払う」。
  • 支払方法:銀行振込か現金支給かを明示します。
  • 賃金構成:基本給、諸手当、残業代などの構成内容を記載。
  • 賞与支給時期:年2回などの賞与支給時期があれば記載。
  • 控除項目:所得税や社会保険料などの控除項目を明記します。

よくある質問

締め日や支払日は変更してもいいのか?

給与の締め日や支払日は、一定の条件を満たせば変更が可能です。
ただし、変更にはいくつかの法的要件と留意点が伴います。

  • 法的要件
    変更を行う際は、労働基準法の「毎月1回以上、一定期日払い」の原則を守ることが必須です。
    従業員へ事前に十分な説明を行い、同意を得ることが求められます。
    さらに、就業規則(賃金規程)も変更手続きが必要です。
  • 変更時の留意点
    締め日や支払日が変わることで、従業員の生活に影響が出る可能性があるため、十分な事前通知を行うことが重要です。
    必要に応じて、一時的な貸付制度や前払い制度の検討も有効です。
  • 変更タイミングの工夫
    社会保険の手続きが煩雑になる4〜6月を避けたり、従業員の生活を配慮し賞与支給月に変更するなどが必要です。

正社員とパートアルバイトの締め日と支払日は異なっていてもいいのか?

正社員とパート・アルバイトの給与の締め日と支払日を異なる設定にすることは可能です。
労働基準法の「毎月1回以上、一定期日払い」の原則を守れば、法律上の問題はありません。

異なる設定のメリットとデメリット

  • メリット:支払日をずらすことで資金繰りの調整が可能であり、給与計算の負担を分散させられます。
  • デメリット:異なる締め日・支払日を管理する手間が増え、ミスのリスクが高まる点には注意が必要です。

まとめ

給与計算の締め日と支払日は、頻繁に変更するものではなく、変更時には従業員への説明や手続きが必要となるため、慎重な検討が求められます。
コステム社会保険労務士事務所では、無料相談を実施しており、Zoomでの対応も可能です。ぜひお気軽にご利用ください。

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