社会保険労務士・ PHP研究所認定チームコーチ。厚生労働省や都道府県等のホワイト企業認定マーク取得、㈱ワーク・ライフバランス認定「働き方見直しコンサルティング」、クラウド勤怠管理システム導入など採用力・定着力向上のための働きやすい職場環境づくりを支援している。講演実績としてアサヒビール(株)、コクヨ(株)、(株)デンソーセールス、農林水産省など。石川県金沢市のコステム社会保険労務士事務所の代表を務める。 プロフィールはこちら https://www.costem-sr.jp/about/profile
月単位変形労働時間制と休日出勤について
労働時間と休日。これらは私たちの日常生活と深く関わっていて、生活リズムや生産性、健康状態に大きな影響を与えます。そして、どのように制度をつくり、管理するかは、企業の生産性と労働者の福利厚生のバランスの上で重要な課題となります。
特に、「変形労働時間制」と「変形休日制」は、労働時間の柔軟性を確保しながら労働者の権利を守るための有用なツールとなることがあります。
一方で変形労働時間制と変形休日制を採用し、休日出勤した場合、どのように労働時間が扱われるのかについては、多くの人々が混乱を感じます。
この記事では、1ケ月単位の変形労働時間制と変形休日制について詳しく解説し、それぞれの制度がどのように機能し、休日出勤がどのように扱われるのかを考えます。
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1ケ月単位変形労働時間制とは?
1ケ月単位変形労働時間制とは、1ケ月以内の期間における1週あたりの平均所定労働時間を、法定労働時間(40時間)以内にした場合には、特定の日や特定の週に法定労働時間の8時間や40時間を超えて所定労働時間を設定することができる制度で、飲食業や旅館宿泊業、介護福祉、保育など幅広い業種で採用されている制度です。
1ケ月単位変形労働時間制を採用した場合、休日数はどう決める?
法定労働時間内に所定労働時間を設定する必要があります。
例えば1日の所定労働時間が8時間の会社の場合、
延べ日数が31日の月は、
31日÷7日×40時間=177.1428…時間が労働時間の上限になります。
177.1428時間を、1日の所定労働時間の8時間で割ると、22日が所定労働日数となり、結果延べ日数の31日から22日を引いた9日が休日となります。
1日の所定労働時間8時間の場合の休日数
延べ日数 | 休日数 |
31日 | 9日 |
30日 | 9日 |
29日 | 9日 |
28日 | 8日 |
法定休日と、所定休日の違い
運用するためには、法定休日と、所定休日の2つに分けることが必要です。
同じ休日だと感じられますが、休日出勤した場合の割増率や、上限時間数の適用など異なるため、注意が必要です。
説明 | 休日出勤した場合の割増率 | |
法定休日 | 週ごとに1日の休日 | 3割5分以上 |
所定休日 | 法定休日以外の休日 | 2割5分以上 |
法定休日の決め方。変形休日制とは?
法定休日は、原則、毎週1日与えることが義務づけられていますが、例外として4週間を通じて4日の休日を与える変形休日制を就業規則などに定めることで導入することが認められています。
1ケ月単位変形労働時間制と変形休日制を採用した場合に休日出勤。どの日が法定休日に??
どの週も40時間以内の労働時間で、毎週1日は必ず休日が設けられている原則の制度とは異なり、1ケ月単位変形労働時間制を採用し、かつ変形休日制を採用している会社で休日出勤した場合、どの日を法定休日出勤扱いにしたらよいのか?という問題があり、就業規則の定め方によって、異なってきます。
特定の曜日を定めることができないため、一般的には、月の初日を起算日とする4週間における最後の4日の休日とする。のように定めます。